防衛装備品(武器)について

防衛装備品(武器)については、2-3か月ほど前に、北朝鮮や中国を念頭に置いた反撃能力確保のため、1,000km以上の射程距離を持つアメリカ製巡航ミサイル「トマホーク」を、400発(予算は2,113億円とのことなので、単純計算すると1発あたり約5.3億円)を、当初の予定から1年前倒しして2025年度から導入すると報じられ、これは現行の国産ミサイルの射程距離を延長する改良に時間がかかることも影響しているようです。

また今週になり、政府はアメリカの要請により、国内でライセンス生産し自衛隊が保有している地対空迎撃ミサイルの「パトリオット」を、完成品の状態でアメリカへ輸出すると報道されました。
これは、アメリカがウクライナへ供与して手薄になった国内用のミサイルを補充するためとのことで、実現すると、殺傷能力のある武器を輸出する初めてのケースになります。

一方、防衛装備品は、調達や整備の視点から極力国産を求めるという方針があり、比較的イメージしやすい小銃については、外国製との比較を含めると以下のような状況です。(少々マニアックな点もありますが、お付き合いいただければ幸いです)

・現在自衛隊で使われているのは、最新の20式(にいまる、2020年制式化、島嶼部を占領された場合の奪回を目的とする水陸機動団を中心に配備)、および89式(はちきゅう、1989年制式化)。

・主な仕様は、海外で使われている軍用小銃と同等で、有効射程距離は300m程度、弾倉は30発、単射と連射の切替え可。(ちなみに弾薬と弾倉は、西側諸国の軍で使われているものと互換性がある仕様)

・価格は、国産で、納入先が自衛隊および海上保安庁・警察庁(特殊部隊のSAT向け)に限られており量産効果が出せないため、1丁あたり28~34万円程度と外国製に比べて高い(単価はその年度の調達数量により変動)。

・一方、アメリカで開発され、アメリカ以外の友好国でも採用されているM16および派生型のM4カービンは、生産量が多いため、1丁あたりの価格は10~12万円程度。

・また、旧ソ連で開発されたカラシニコフ銃(AK-47,AKM,AK-74およびこれらの派生型)は、ソ連が当時の社会・共産主義の同盟国へ無償でパテントを供与し、構造がシンプルで安く作れることから、その後は非正規のコピー品も含めて多くの国で作られるようになり、各地の反政府勢力や過激派組織が使っているものを含めて全世界で8千万~1億丁が出回っていると言われる。(それゆえに「小さな大量破壊兵器」、「世界初のグローバル製品」の異名あり)

話を戻すと、経済合理性のみを考えるならば、日本も防衛装備品の輸出を緩和して量産効果が出せるようになると、最近は撤退する中小企業も多いと言われる防衛産業にとってもメリットがあるでしょうが、政治的要因の方が優先される分野のため、そう簡単にはいきません。
ともあれ、今後防衛費を増やすのであれば、一納税者としては、政治的要因は考慮しつつも、少しでも税金を有効活用して欲しいと思う次第です。

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